- not same, but equal.
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【創作】<キス22箇所>#21 足の甲:隷属

女が王の間に現れた途端、香が一面に漂う。伏す臣民に微笑するその、何という美貌。後ろ手に縛られた男は呆然と女王を見つめる。五感が支配される。陶酔する。祖国を蹂躙された怒りさえ遠のく。やがて女王が差し出した足の甲へ男は躊躇いなく口づけた。――玉座に絡んだ蛇が、嗤う。





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【創作】<キス22箇所>#20 脛:服従

脛のでかいホクロが嫌なんだ、と言った時、その女はあたしもあるの!と自分のを見せてきた。すごいね運命かも!と興奮され、んな運命あるかと盛大に呆れた。なのに今俺の隣にその女は裸で寝ている。見つめると彼女は笑って、あたしの運命、と俺の脛にキスをした。さて、もうすぐ一年。





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【創作】<キス22箇所>#19 腿:支配

海辺の堤防の上でバランスを取る、君の少し後ろを歩いていた。期末だめかもーなんておどける声に曖昧に頷き返す。君の笑顔や考え方、そういうのを好きになったはずなのに、今は普段見えない角度の白い内腿しか目に入らない。君のそこに蚊がとまる。何だかひどく後ろめたかった。



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【創作】<キス22箇所>#18 腰:束縛

こんな人とは思わなかった。ぐったり畳に倒れ伏し、腰に湿布を貼った姿はとても人様には見せられない。遊び疲れて眠った子の隣で、お馬になるのもしんどいなと苦笑する。こんな人じゃなかったけれど、昔よりずっと目尻の皺が優しい。よしよしと腰をさすってあげる、私の手にも幸せな皺。



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【創作】<キス22箇所>#17 腹:回帰

鼓動の音が響く海のまにまに、私は膝を抱えて漂っていた。水はどこまでも透明で温かく、いねむりをするのにちょうどいい。光がきらきらと射す波間、少しくぐもった優しい声で名前が呼ばれるのを繰り返し聴いていた。私はなんて愛されているんだろう。このことをずっと忘れずにいたい。



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【創作】<キス22箇所>#16 指先:賞賛

爪に火を灯すような暮らしでも、二人の心には音楽があった。夫がヴィオラを妻がピアノを、床を軋ませて躍るワルツ。幸福に形があるならきっと五線譜ねと、あどけない妻の指にただ一つ光る指輪。宝物は少なくていいの。笑う手を取り、宝物は君だと抱きしめる。さあ今日は何を歌おうか。



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【創作】<キス22箇所>#15 掌:懇願

それだけは言ってはならなかったから両手で必死に口を塞いだ。涙が溢れるように、お喋りな唇が突拍子もないことを告げたいともどかしがる。なのに君は私のすべてを見つけてしまった、取り上げた手のひらに熱の余韻を残して。もうどうしても終われない。観念して私は、君に恋を告げた。



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【創作】<キス22箇所>#14 手の甲:敬愛

震える足を必死に留めて王女はバルコニーに姿を現した。歓声を挙げる民衆の熱気、花吹雪とトランペット。傍に跪いた騎士の顔は見えない。この手を、祝福を授ければ彼は。よろめくように一歩出た、王女の手の甲に騎士は接吻する。祖国に勝利を。翳された剣に、王女の目は黒く眩んだ。



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【創作】<キス22箇所>#13 手首:欲望

葉擦れの音と燕の影がカーテンの上に踊った。今はもう無垢なあなたはうっとりと午睡を続けている、まるでもう目が覚めないかのように。ベッドの脇に座り込み、ことりと落ちた手を握る。巡り巡る同じ血潮。細い手首に唇をつけ、ただそこが脈打つのを、メトロノームのように聴いていた。



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【創作】<キス22箇所>#12 腕:恋慕

傷を舐め合うように愛の真似事を長く繰り返していた。左腕の内側に印した鬱血で世界から君を守れる気がして、そんな子供じみた妄想が二人を悲劇の只中においていた。治らない傷はないことを知った今、僕は君に、世界を見にいこうと告げたい。今度こそ愛だと、衒いなく言えるだろう。



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